Bio-Station

Bio-Stationは日々進歩する生命科学に関する知見を、整理、発信する生物系ポータルサイト、を目指します。

RNA生物学

tRNA断片が核の構造を変える!?

RNAといえば、多くの方は翻訳されてタンパク質を生み出すメッセンジャーRNA(mRNA)を思いつくかもしれない。 しかし、細胞内に含まれるRNAのうちmRNAが占める割合はほんの数パーセントであり、大部分のRNAはタンパク質をコードしないノンコーディングRNAであ…

RNAスプライシングが遺伝子発現を制御する?

正確な遺伝子発現がどのように実現されているか知ることは、生物学の一つのゴールである。 ご存知のように遺伝子はDNAから転写されてRNAスプライシングなどの制御を受けて成熟したRNAになる。 これまでに、転写がRNAのスプライシングに影響を与えることはし…

タンパク質を保護する天然変性タンパク質群"Hero"の発見とその機能+筆頭著者によるコメント

全長にわたって天然変性しているタンパク質群「HERO」を発見、その機能に迫った論文を解説!

発生イベント制御に関与するLin28a遺伝子の時期特異的な発現操作による表現型解析(筆頭著者による論文紹介)

今回、筆頭著者による論文紹介第3弾(第1弾ペルオキシソーム、第2弾場所細胞)ということで、(元)東大薬、遺伝学教室の村松さんにご寄稿いただきました!管理人は研究内容はもちろん、大変だったことに書かれているゼロイチ実験(ネガデータの場合得られる情報…

記憶が遺伝する!?

生物学では、長い間、後天的に獲得した形質は次の世代には遺伝しないと考えられてきた。 ところが近年、この通説を覆すような事例が報告されつつある。 最も有名な例が、第二次世界大戦中のオランダ飢饉の例である。 第二次世界大戦中にナチスドイツの出入港…

ニューロンの多様性を作るメカニズム

私たちは常に外界からの情報を受け取り、処理し、行動に結びつけている。 ご存知のように、これらの情報処理を行うのに重要な器官は"脳"である。 脳の中でも神経細胞、ニューロンがとても重要であることが知られている。 人間には非常に多くのニューロンが存…

ノックアウトとノックダウンの表現型が違うのは?_2

前回の記事で、ある遺伝子をノックアウトした時にその遺伝子に似た機能を持つ遺伝子の発現が上昇する"コンペンセーション"のメカニズムについてまとめた。 まとめると前回紹介したところまでで、 ノックアウトで似た遺伝子の発現が上がるのは ノックアウトに…

ノックアウトとノックダウンの表現型が違うのは?_1

生物はある遺伝子が欠失した時でも、同じような機能を持つ遺伝子を発現させるメカニズム(Genetic compensation、以下"コンペンセーション")を持っている。 よくあるのは、ある遺伝子をノックアウトした際に、ファミリー遺伝子の発現が増加するもの。 (例えば…

柳に雪折れなし? 成体の神経幹細胞における転写後制御

拙ブログでも何度か紹介しているように、 次世代シーケンサーの登場によって、多くの細胞種でRNAseqが行われ、 それらの細胞の遺伝子発現が網羅的に調べられてきている。 その勢いや猪のごとく(猪年だけに?)、 三大紙でもRNAseqを見ない週はない勢いである。…

long non-coding RNAは意外と、、、??

生き物のゲノムにはlong non-coding RNA(lncRNA) (タンパク質をコードしていない長いRNA) が数多く存在していることが分かっている。 これまで数多くの因子のlncRNAの機能が報告されてきたが、 意外と発生に不可欠であるという報告は少なく、 lncRNAが"死ぬ…

ゾフルーザの作用機序 -Snatching the cap-

今年もインフルエンザが広まる季節になってきましたね。 当ラボでもボスを始めとして発症者が出てしまいました.... ただ、去年までと様相が異なるのは、 "ゾフルーザ"という新しい薬が出ていることだろう この"ゾフルーザ"の作用機序は結構興味深いので、 こ…

翻訳されるnon-coding RNA??

前回紹介したように、(https://jugem.hatenadiary.jp/entry/2018/12/16/145900) 近年non-codingと思われていたRNAから翻訳されていた! という報告がいくつかなされてきた。 今回紹介する論文も感染時に発現する翻訳される"non-coding"RNAを見つけた!、 と…

端のメチルが役に立つ?

今回は日本人研究者の論文を紹介しようと思います*。 タイトルは完全にプレスリリースのタイトルに引っ張られてます... (プレスリリースのタイトルは"メチルは端だが役に立つ") 少し前の投稿でも解説した通り、 最近新しいRNA修飾としてm6Aが再発見され、そ…