リン酸化しないリン酸化酵素もどきの機能
細胞内でのシグナルを伝達手段として、数多くの翻訳後修飾があげられる。
なかでも、リン酸化は細胞増殖や細胞生存などで必須の役割を果たすことが知られている。
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これらキナーゼの機能の異常は多くの疾患と関連があることも知られ、長年にわたって、数多くの研究がなされてきた。
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("偽の"を意味する接頭辞"pseudo-"とkinase(キナーゼ)を合わせてpseudokinaseといわれる。)
さらに、このpseudokinaseはヒトではキナーゼ全体の10%に及ぶとされているが、その機能はほとんど分かっていなかった。
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そこで、筆者らは、特に種にわたってよく保存されているpseudokinaseであるSelOに着目して、その機能を探索した**。
詳細は割愛するが、質量分析や結晶構造解析などを駆使することによって、
SelOはATPを使ってタンパク質にAMPを結合させる、ことが分かった。
いわゆるキナーゼはATPを用いてリン酸基をたんぱく質に結合させる。
SelOの働きは全く逆なので非常に興味深い。
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さらに、このAMP修飾は酸化還元に関するタンパク質によく入ること、
SelOは抗酸化ストレス応答に必要であることを明らかにしている。
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リン酸化能を失ったリン酸化酵素が、全く別の働きによって生体恒常性維持に貢献しているのは非常に面白い。
一つの研究分野を拓くようなインパクトのある研究だと思った。
あとは、哺乳類での生理的条件での機能などが分かるとよいだろうか。
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参考
** Protein AMPylation by an Evolutionarily Conserved Pseudokinase, Cell, 2018