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ウィーン滞在記(2)

管理人が2021年4月から3か月ほどオーストリアのウィーンに短期滞在しておりましたので、前回に続きましてウィーン滞在記(2)となります。
 
今回は研究のことについてご紹介していこうと思います。
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まず滞在している研究所なのですが、IMP(Institute for molecular pathology)というところで下の地図の右下の丸のところにあります。(中心の赤枠が町の中心地で、ここから自転車で20分くらいのところにあります)
 
このあたりはVienna Biocenterといって4つの研究機関(IMP, IMBA, GMI, MAX PERUTZ)が建物をつなげて一つのセンターのようになっています。
 
たとえばIMPは16くらいのラボが入っているので、一つの研究所が日本の大学の付置研一つくらいのサイズ感でしょうか。
 
ちなみに現在このVienna Biocenterには10名ほどの日本人の方がポスドク/PIとして在籍されています。
 
(思っていたよりも少ないなという印象です。ちなみに生命科学系でウィーン留学ならここか、別のところにあるISTというところかのどちらかがほとんどのようです)

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比較的こじんまりとしたセンターではあるのですが、PIはすごい人たちが集まっていてスーパー大御所から今をきらめく超新星まで多様な人材がいます。
 
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なんとなくこちらに来てみて感じた違いをご紹介したいと思います。全体的にはすごく研究しやすいよい研究所だなと思います。
 
環境
・建物はとてもおしゃれ、言葉では説明しづらいが、いわゆる海外のオシャンなラボのイメージに近いと思う
・実験室は4ラボ共用(海外だとほとんどそうだと思うが、)
・デスクスペースは半階ずつずらして2階分で全ラボが入っている、ラボ間の仕切りは特にない
・コンビニがないので少し不便。食堂と軽食ショップが入っている。
・食堂は思ったよりもおいしい。日本の学食の方がヘルシーだが。
・ウィーンはドイツ語圏なのでなにかとドイツ語なことがある(食堂の注文とか)。
・洗濯機やキッチンはあってこれは世界共通なんだなと思った。
 
実験関係
・基本的な試薬/培地はコアファシリティーが全部作ってくれる。PCR酵素も精製してくれる。すごい
・ペンや実験ノートのストックまでファシリティーのストックみたいなのがあって取りに行けばGetできる(ラボの経費から落ちる)
・使い終わった器具も洗ってくれる
・サンガーシーケンスもファシリティーがやってくれるので当日中に結果が分かる。
・だけどなぜかオートクレーブは自分ではできなくてコアファシリティーに持っていってお願いする
・試薬などの注文は一括ぽくてラボに業者さんが入ってこない、これは結構いいとおもった
・研究の進め方が劇的に日本と違うかといわれるとそうでもない、そりゃそうだが。
・研究所セミナーが多い。ポスドク/PhD studentが毎回2~3人話すInternalセミナーと外部からゲストを呼ぶセミナーがそれぞれ週1くらいである。お勉強になってよい。
 
コロナ関係
・コロナのPCRを週2で無料で受けられる(陽性がでたら全体メールでお知らせされる)
・このため割と内輪のミーティングは対面でやっているラボが多い
 
その他
・IMPとIMBAの若手PIは任期(8年?)が決まっている。その間に次のポストを見つけないといけない
・多くの場合は栄転されるらしい。研究所も人をどんどんフレッシュにする、という方針らしい
・コロナ前は毎週金曜に研究所のお金で研究所全体飲み会があったらしい。まじか。
・ラボでの滞在時間はみなさんやはり少し短め。朝はそんなに変わらないが夕方が早い。アジア人は長め。
 
書きながら、もう少し研究者の卵らしくもう少し違いにSensitiveになって、差をちゃんと記述できるようになりたいと思いました()。
 
ネタ切れなのでウィーン滞在記は2で終わると思います。何かあれば何かで聞いてください。では。