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アスピリンの日常的な服用は危険かも?

アスピリンの日常的な服用は危険かも?
 
アスピリンは、古くから知られる鎮痛剤である。
 
ただ、アスピリンは鎮痛に効くのみではなく、
低用量で毎日服用すると心筋梗塞脳卒中のみならず、がんや、アルツハイマー病までも予防する万能薬と考えられている。
(Artines et al, 2003. , Chandra et al, 2018.など)
 
エビデンスがしっかりしているおかげか、生命科学分野で有名な先生も毎日服用していたりするらしい。
 
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ところが。その定説を覆すかのような論文*が先日publishされた。
 
筆者のグループは65歳以上の約2万人を対象に、アスピリンを毎日服用するグループと偽薬を服用するグループに分け、予後を追跡した。
 
その結果、アスピリンを毎日服用すると出血のリスクがあがるのみならず、がんになるリスクも大きくなることが判明した。
さらにその時心疾患になるリスクはアスピリン服用群で下がらなかったらしい。
 
すなわち、(この論文だけ見ると)アスピリンの服用は百害あって一利なし、のようだ。
 
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これまでの数多くの論文がアスピリンの効果を証明しているため、この一報ですべてがひっくり返るというわけではなさそうだ。
 
しかしながら、定説が必ずしも正しいわけではないかもしれない。
 
自分がアスピリンを服用したくなるころには、効果があるかどうかはっきりしているといいのだが。
 
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*Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly, The New England Journal of Medicine, 2018