Bio-Station

Bio-Stationは日々進歩する生命科学に関する知見を、整理、発信する生物系ポータルサイト、を目指します。

2021-01-01から1年間の記事一覧

2021年生命科学研究まとめ&2022年展望

今回は大みそかということで、管理人の独断と偏見による2021年生命科学研究のまとめと2022年の展望を紹介していこうと思います。 学生の漫談みたいな感じなのであしからず。昨年の2020年まとめ&2021年展望はこちら。 全体のまとめ、神経幹細胞研究、今年面白…

2021年 ノーベル医学生理学賞;温度と圧力のセンサー分子の発見

2021年のノーベル医学生理学賞は「温度や圧力を生物はどのように感知するか?」という謎に取り組んだデビッド・ジュリアス氏とアーデム・パタプティアン氏に授与されます。 David JuliusさんとArdem Patapoutianさん Biostationでは、受賞対象となった研究に…

植物の水分センサー

水は生命にとって必須であるが、多くの生物は水が欠乏した状態にも耐えうる方法を獲得している。 その中でも植物の種子は数年から数千年の間、乾燥した条件の中でも生存し続けることができる。 種子は水を吸収すると細胞活動を再開し発芽する。この適切な水…

DNAメチル化が遺伝子発現を抑えるメカニズム@植物

DNAメチル化は、遺伝子やトランスポゾンの転写抑制に関連している有名なDNA修飾であるが、DNAメチル化がどうして転写を抑制できるのかは不明な点も多い。 哺乳類はいくつかのメチルCpG結合ドメイン(MBD)タンパク質を持ち、これらのタンパク質はメチル化され…

ウィーン滞在記(2)

管理人が2021年4月から3か月ほどオーストリアのウィーンに短期滞在しておりましたので、前回に続きましてウィーン滞在記(2)となります。 今回は研究のことについてご紹介していこうと思います。 --- まず滞在している研究所なのですが、IMP(Institute for mo…

ウィーン滞在記(1)

今回は論文紹介ではなく管理人の雑記になります。 管理人が2021年4月から3か月ほどオーストリアのウィーンに短期滞在しておりますので、その様子などをお伝えすることで皆様のお役に立てればと思います。 今回は渡航までの経緯などをご紹介しようと思います…

DNAの傷が転写を活性化する?

細胞の中でDNAはヒストンやその他たくさんの非ヒストン性クロマチン因子によってパッキングされている。 これらの因子によるゲノム構造の制御が、正常な遺伝子発現のコントロールには重要である。 この中でHMGA2という因子が胎生期の細胞やガン細胞などで高…

脊髄の再生を促進するグリア細胞の性質変化

今回紹介する論文では、ゼブラフィッシュの系を用いてグリア細胞の上皮間葉転換(Epithelial-to-Mesenchymal Transition, EMT)が脊髄損傷後の再生に重要であることを見出した。 我々哺乳類とは異なりゼブラフィッシュは高い再生能を有し、脊髄が損傷しても6-8…

ゲノム中の塩基配列の偏りの意義?

生物のゲノムはATGCの4つの塩基の組み合わせからなる。 このA, T, G, Cはゲノム中に均等に存在するわけではなく、ある一定の偏りを持って並んでいる。 では、この塩基の配列の分布の偏りは何か役割を持つのだろうか? これまでCG配列に結合する因子とその機…