Bio-Station

Bio-Stationは日々進歩する生命科学に関する知見を、整理、発信する生物系ポータルサイト、を目指します。

最近の生命科学論文

相分離を駆動する"ヌクレオソームコア"の構造変化

私たちのゲノム情報をのせたDNAは、細胞核の中でヒストンやその他の非ヒストン性タンパク質群と共にクロマチンを構成する。 クロマチンは一般に緩い構造を取ると遺伝子発現が活性化しやすく、凝集した構造を取ると遺伝子発現が抑制されやすい。 このようにク…

真のオス化遺伝子の発見!?

今回珍しく日本人の方の論文を紹介させていただきます。関係者の方(に限らず)間違いなどございましたらご指摘いただけると幸いです。 ---- 性別をきちんと決定することは種の生存及び進化に非常に重要である。 これまで哺乳類のオス化を決定する遺伝子として…

タンパク質ノックダウンで見えてきた新しい転写制御機構

遺伝子の発現がいかに制御されるか、という疑問は生物学において最も根源的な問題の一つである。 多くの遺伝子はRNAポリメラーゼII(以下PolII)によって転写されるため、PolIIの制御機構を知ることが遺伝子発現制御メカニズムを知るうえで大きなカギとなる。 …

再生に伴う遺伝子発現のダイナミックな変動

再生能が限られている私達ヒトを含む高等脊椎動物と異なり、メキシコサンショウウオ(アホロートル、ウーパールーパー) は成体においても高い再生能を有し、器官レベルの再生を行うことが可能である。 再生の過程では一度分化した細胞が多分化能を獲得し、さ…

細胞外タンパク質の品質管理

タンパク質の異常な凝集などは、神経変性疾患をはじめとして種々の疾患の原因となりうることから、タンパク質の品質は生体内で保たれる必要がある。 これまで細胞内でタンパク質の品質管理を担う因子は数多く同定されてきたが、細胞外タンパク質の品質がどの…

腸内細菌が宿主の行動を変化させる!?

私達人間を含む動物は、腸内細菌をはじめとして多くの生き物と共生している。 これまで、腸内細菌が宿主の行動を変えうることを示唆することが報告されてきたものの、そのメカニズムはあまり分かっていなかった。 今回、ある種の腸内細菌が神経伝達物質を合…

自己と非自己を分ける免疫のメカニズム

はじめに 昨今、がん・アレルギー患者や新興感染症の感染者数は増加の一途をたどり、社会的にも免疫学への関心が高まっています。そもそも免疫は、「自分を攻撃せず」、外敵を攻撃するというシステムです。免疫が自己に対して攻撃しないことを免疫寛容といい…

幹細胞のグランドキャニオン?

DNAは折りたたまれて細胞核の中に収納されている。 DNAの折りたたまれ方にはいくつか種類があって、近いDNA同士がループ構造を作ったり、エンハンサー同士がぎゅっと集まったりする様式が知られている。 この折りたたまれ方の違いは遺伝子発現を制御するする…

転写因子のヒストン自体への結合が細胞運命に重要?

私たちの体は多様な細胞種によって構成され、それぞれの細胞に正しく分化するにはそれぞれの細胞群に必要な遺伝子セットが活性化される必要がある。 細胞分化に伴って特定の遺伝子セットを活性化するには、それまでクロマチンが閉じていた領域をオープンにし…

細胞老化に伴う細胞核状態の変化

今回は細胞の老化とクロマチン状態の関係について迫った論文を紹介 細胞は無限に増殖し続けられるわけではなく、ある状況下において細胞増殖を停止させることが知られている。 この細胞増殖の停止は細胞老化と呼ばれ、SA-β-galの蓄積、細胞周期抑制因子p16や…

タンパク質なしにリポソーム内部に特定の物質が濃縮される現象の発見_筆頭著者による論文紹介

今回は筆頭著者の論文紹介として、東京大学大学院総合文化研究科、豊田太郎研究室の杉山博紀(すぎやまひろのり)さんに記事をご寄稿いただきました!ぜひ最後までご覧ください! ---- 生命はどのようにして誕生したのか,生命科学に携わる人なら一度は考え…

ヒストン修飾と相互作用する新規タンパク質の網羅的同定

正確な細胞運命の制御には、正確な遺伝子発現の制御が重要である。 厳密な遺伝子発現の制御のために、DNAを巻き付けるヒストンのメチル化やアセチル化といった化学修飾が大きな役割を果たすことが知られている。 これまでにヒストンの化学修飾(メチル化/アセ…

ヒトらしい脳ができる分子メカニズム

今回はヒトらしい脳ができる分子メカニズムに迫った論文を解説。筆頭/責任著者の難波さんからコメントを頂いていますので、ぜひ最後までご覧下さい! 目次 管理人による論文解説 管理人コメント ★筆頭/責任著者の難波隆志さんからのコメント 管理人による論…

脊椎動物の「休眠状態」の分子メカニズム

いくつかの生物は過酷な環境を生き抜くために特殊な能力を身につけてきた。 例えばリスやクマは冬を越すために冬眠するし、マウスも絶食,寒冷,恒暗などの状況下では低体温,活動量の低下を伴う非活動状態(torpor)になる(1)。 このような特殊能力の一つとし…

発生時計の同調メカニズム

★今回は筆頭著者の吉岡さんからコメントを頂きました。ぜひ最後までご覧下さい!★ 何兆個もの細胞からなる私たちの体は、受精卵というたった一つの細胞から生まれる。この受精卵から体が出来上がる過程において、多くの現象があらかじめ決められたタイミング…

減数分裂のスイッチ因子「MEIOSIN」の発見

★今回は筆頭/責任著者の石黒先生からコメントを頂きました!ぜひ最後までご覧ください!★ 細胞の分裂は、同じDNA情報を複製した後に同じコピーを持つ娘細胞を作り出す体細胞分裂と、精子・卵子を作り出す際に染色体数を半減させる減数分裂に大別される。 減…

インプリント鎖が脳発生に重要!?(筆頭著者による論文紹介)

インプリント鎖も機能している⁉ 母方鎖からだけ発現されているとされていたp57という遺伝子が、脳においてわずかながら父方鎖からも発現していることを発見。 さらに父方鎖のp57遺伝子座を欠失させると脳発生が異常になる。

脳転移がんはエクソソームによって転移を容易にしている!?

脳転移がんはエクソソームによって転移を容易にしている⁉という論文を解説。 今回なんと共筆頭著者の星野歩子先生からコメントいただいています!

2019年生命科学研究まとめ&2020年展望

管理人の独断と偏見による2019年生命科学研究のまとめと2020年の展望、そして今年バイオステーションでアクセス数の多かった記事を紹介!

tRNA断片が核の構造を変える!?

RNAといえば、多くの方は翻訳されてタンパク質を生み出すメッセンジャーRNA(mRNA)を思いつくかもしれない。 しかし、細胞内に含まれるRNAのうちmRNAが占める割合はほんの数パーセントであり、大部分のRNAはタンパク質をコードしないノンコーディングRNAであ…

レトロウイルスの侵略により引き起こされたウイルス複製阻害遺伝子ファミリーの急速な進化(筆頭著者による論文紹介)

今回は東大医科研、佐藤研究室の伊東さんから筆頭著者による論文紹介を頂きました。論文の中身はもちろん、研究室の紹介や研究の裏話、バイオステーション管理人とのQ&Aまで盛りだくさんの内容となっていますのでぜひ最後までご覧ください! --- レトロウイ…

RNAスプライシングが遺伝子発現を制御する?

正確な遺伝子発現がどのように実現されているか知ることは、生物学の一つのゴールである。 ご存知のように遺伝子はDNAから転写されてRNAスプライシングなどの制御を受けて成熟したRNAになる。 これまでに、転写がRNAのスプライシングに影響を与えることはし…

タンパク質を保護する天然変性タンパク質群"Hero"の発見とその機能+筆頭著者によるコメント

全長にわたって天然変性しているタンパク質群「HERO」を発見、その機能に迫った論文を解説!

代謝とエピジェネをつなぐ新しいヒストン修飾「ラクチル化」の発見!

遺伝子の発現がどのように制御されているか知ることは、現在の生命科学の一つのゴールである。 遺伝子発現には遺伝子自身のDNAは配列も重要だが、DNAをパッキングするヒストンの状態も重要であることが知られている。 古典的にはヒストンのアセチル化が活性…

神経活動が寿命を決める!?

私たち人を含め生き物は病気にならなくても、老いていき、ある程度の寿命で死んでしまう。 このどうして老いていくのか、何が寿命を決定するのか、というのは人類が長年探し求めてきた疑問の一つである。 ここ数十年で、生命科学の発展により老化や寿命を規…

核の中の相分離

細胞の中で、DNAから適切な遺伝子が発現し機能することは、細胞運命を正確に制御するために極めて重要である。 これまでに遺伝子発現の制御には、多数のヒストン修飾をはじめとしたエピジェネティック因子が重要であることが示されてきた。 例えば下のイラス…

マクロファージの前座を務めますのは??

生物はわずか一つの受精卵から細胞の分裂と分化を繰り返し、多数の細胞からなる個体を形成する。 この細胞をどんどん増やしていくという発生の過程において、一方でいくつかの細胞は細胞死していくということが知られている。 発生において、細胞が正しく死…

病原を「寛容」する分子メカニズム

「腸チフスのマリー」として知られるメアリー・マローンをご存知だろうか。 メアリー・マローンは1869年~1938年に実在した人物で、アメリカにおいて住み込み料理人として働いていた。 彼女が有名になってしまった発端は、メアリーの勤め先の近辺で腸チフス患…

発生イベント制御に関与するLin28a遺伝子の時期特異的な発現操作による表現型解析(筆頭著者による論文紹介)

今回、筆頭著者による論文紹介第3弾(第1弾ペルオキシソーム、第2弾場所細胞)ということで、(元)東大薬、遺伝学教室の村松さんにご寄稿いただきました!管理人は研究内容はもちろん、大変だったことに書かれているゼロイチ実験(ネガデータの場合得られる情報…

ニューロンは特別ではない?_2

前回の記事で、ショウジョウバエの気嚢原基はサイトニーム(下の図のもしゃもしゃしたやつ)という特殊な突起を持っていて、そこからシグナルを受け取ることを紹介してきた。 このサイトニームはなんだか特別な構造体のように思えるが、まあそうでもない。 ニ…