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核内でRNAを制御する

Argonauto(AGO)はmiRNAによるサイレンシングの実行因子であるRISC complexの構成要素である。
 
従来AGOは細胞質で標的mRNAと相互作用すると考えられてきたが、近年にもAGOが存在していることが分かってきた。
 
しかし、どのような細胞で核にAGOが存在するのか?、核内AGOにどのような機能があるのか?は不明であった
 
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今回の論文*ではなんと、特にstem cellで核内AGOが多く細胞質と同様にRNAの分解を制御していることを明らかにした。
 
また、AGO KOのES cellは分化できないが、核移行AGOだけでこの表現型はレスキューされることを明らかにしている。。
 
すなわち、核内AGOが幹細胞運命にも影響する可能性を示唆している。
 
さらに、核内AGOも細胞質のAGOと同じようにmRNAの分解制御を行っているらしい。
 
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核でRNAの安定性を制御する意義はよくわからないが(論文でも特に言及はなさそう)、
 
幹細胞で核内AGOという特殊なRNA制御があるのは興味深い。
 
核内AGOは発生のコンテクストでも幹細胞運命に大事なのだろうか。
 
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* Argonaute-miRNA Complexes Silence Target mRNAs in the Nucleus of Mammalian Stem Cells, Molecular Cell, 2018