RNAを時計代わりに
近年、単一細胞ごとに遺伝子発現を記述するシングセルRNAseqが開発され、その威力を発揮している。
特に、発生の過程においては遺伝子発現のパターンから擬時間軸を推定するpseudotime解析が広く使われている。
ところが、このシングルセル解析は解析した時点での遺伝子発現の"Snap Shot"であり、
どのようなアルゴリズムを使っても正しいpseudotimeを作れるわけではなかった*。
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そこで、今回の論文**では、RNAを時計代わりに使うことで、より生物学的に正しいpseudotimeを作れるようにした。
発想としては、RNAのUnspliced formとSpliced formの比から、発生時間を推定するというものだ。
新規に転写されたRNAははじめUnspliced formなのでこの比が高く、時間とともに減っていく。
このようにUnspliced/Splicedの比をRNA速度として発生時間を推定した。
しかし、この方法はちょっと変じゃないか?
現在シングルセルRNAseqでよく使われるSmart-seqはポリAタグでPCRをかけているので、
しかし、解析してみると驚くべきことに、多くのシングルセル解析パイプラインで、
ここまで分かれば、あとは解析屋さんの仕事で、
これまでpublishされたシングルセル解析のデータを再解析することで、
確かにこの方法である時点のsnap shotから時間軸を見出すことに成功している。
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これからのシングルセル解析のスタンダードになりうる手法だろう。
あとはウェット研究者でも使えるようにパッケージなどを整備してくれると嬉しいが...
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*むしろ人間が解釈可能なpseudotimeを作れるアルゴリズムが"正しい"とされ使われてきた。
** RNA velocity of single cells, Nature, 2018、8月にでた論文なので少し古いです。
***たぶんシングセルパイプラインを作っている企業側はimmature RNAをdetectするようには意図していない。